『レ・ミゼラブル』を新たな視点で読み解く—稲垣直樹編著の新装版

名作の奥深さを再発見

ヴィクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』は、単なる物語ではなく、壮大な歴史の再構築を試みた作品です。稲垣直樹編著の新装版では、対訳を通じてその構造を詳細に分析し、ユゴーの意図を探ります。

歴史を書き直す試み

本書では、ユゴーがどのように歴史を再構築しようとしたのかを考察します。例えば、「一日歩いた、その日の夜」や「司教が仕事をする」といった章を通じて、ユゴーの歴史観が浮かび上がります。

鏡のモチーフが支配する物語

『レ・ミゼラブル』には「鏡」というモチーフが随所に登場します。マドレーヌ氏が髪を映す鏡や、コゼットが見知らぬ男と並んで暗闇を歩く場面など、鏡が物語の展開に深く関わっています。

カーニヴァル文学としての『レ・ミゼラブル』

本書では、『レ・ミゼラブル』をカーニヴァル文学として捉え、「火薬の樽」や「1833年2月16日」の章を通じて、その側面を掘り下げます。ユゴーの作品が持つ祝祭的な要素を再発見できるでしょう。

19世紀の挿絵とCD付属

本書には、19世紀の香り高い挿絵が多数収録されており、視覚的にも楽しめます。また、付属のCDを聞きながら原文を味読することで、ジャン・ヴァルジャンの世界が新たな相貌でよみがえります。

まとめ

『レ・ミゼラブル』をより深く理解したい方にとって、本書は最適な一冊です。ユゴーの壮大な構想を対訳で読み解き、歴史、鏡、カーニヴァル文学の視点から作品を再発見してみませんか？