歌う民衆から国民歌へ──近代日本の放歌高吟と唱歌・軍歌の変遷を読み解く

歌う民衆と放歌高吟の近代──歌の力が紡ぐ国民の歴史

近代日本において、歌は単なる娯楽や趣味を超え、民衆の意識を形成し、国民としての一体感を醸成する重要な役割を果たしてきました。永嶺重敏氏の著書『歌う民衆と放歌高吟の近代』は、その歴史的な変遷を丹念に紐解く貴重な研究書です。

「放歌高吟」とは、自由奔放に民衆が歌い上げる歌唱文化を指し、明治・大正期の社会情勢とともに多様な形態を取りました。本書はその放歌民衆の姿から、戦前期に国民の共通歌唱文化として発展した唱歌や軍歌の成立過程を追い、歌の社会的意味や役割を考察しています。

271ページのコンパクトなサイズながら、文献検証と現代語訳を交えて読みやすくまとめられており、芸術・音楽のみならず、歴史・社会学の視点からも多くの示唆を与えてくれます。

歌うことで形成される民衆の精神と国民意識。永嶺重敏氏の研究は、その深層を探りながら、現在の私たちの文化理解にも新たな視座を提供します。日本近代史や音楽史に興味のある方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

# 歌う民衆と放歌高吟の近代

「歌う民衆と放歌高吟の近代」は、永嶺重敏氏による著作で、近代日本における音楽の歴史と民衆の歌の変遷を探求します。この本は、放歌民衆から始まり、唱歌や軍歌を歌う国民へと変わっていく流れを描いています。

本書では、民衆の歌唱が如何にして国民のアイデンティティに影響を与え、それが歴史的な出来事とどのように結びついているかについて深く掘り下げています。各章では、時代ごとの音楽の役割や、社会的な背景がどのように音楽に影響を与えてきたのかを考察しており、音楽と社会の相互関係に光を当てています。

この本を通じて、私たちの「歌うこと」が持つ意味や力を再考する機会を得られます。現代の歌がどのように国家や文化に繋がっているのか、音楽を通して民衆の声がいかにして形作られてきたのか、一緒に考えてみませんか？

「歌う民衆と放歌高吟の近代」は、音楽や文化に興味がある全ての人々にとって必読の一冊です。音楽が私たちの過去や未来をどう変えていくのか、その核心に触れてみてください。