本の幽霊――西崎憲が紡ぐ、書物にまつわる幻想的な物語

書物の中に潜む幽霊たち

書物には魂が宿る――そんな言葉を聞いたことがあるだろうか。西崎憲の短編集『本の幽霊』は、まさにその言葉を体現するような作品だ。本書には、書物にまつわる幻想的な物語が6篇収められている。

収録作品の魅力

本書には、古書店で購入したはずの本が忽然と消える「本の幽霊」、冬の窓辺に広がる静謐な世界を描く「あかるい冬の窓」、読書会を巡る「縦むすびのほどきかた」など、読書好きなら心惹かれる物語が並ぶ。

紙と電子の間を行き交う物語

本書の特徴のひとつは、電子書籍として生まれた作品が紙の本へと転移した点だ。電子と紙の間を行き交う物語は、まるで書物そのものが幽霊のように存在するかのような不思議な感覚を読者に与える。

読書家に贈る一冊

『本の幽霊』は、ただの短編集ではない。本を愛する人々にとって、書物の持つ魔力を再認識させてくれる一冊だ。読書の楽しみを深めたいなら、ぜひ手に取ってみてほしい。