東京消滅の危機と介護破綻、そして地方移住への道――増田寛也編著『東京消滅介護破綻と地方移住本』を読む

東京消滅の危機と介護破綻、その先にある地方移住の未来

増田寛也氏が編著した『東京消滅介護破綻と地方移住本』（中央公論新社、2015年12月刊）は、現代日本が直面する深刻な人口問題と社会インフラの課題に切り込みます。人口集中の象徴である東京が「消滅する」とは、一体どういうことなのか？それは単なる都市機能の衰退ではなく、急速に進む少子高齢化と介護体制の限界がもたらす社会問題の警鐘です。

東京の未来を揺るがす人口減少と介護破綻

日本の首都・東京では若年層の減少に伴い、新たな介護サービスの担い手不足や高齢者ケアの質の低下が懸念されています。増田氏は、その深刻化により「介護破綻」という事態が起こり得ることを示唆。これは単なる制度の崩壊ではなく、地域社会そのものの維持が難しくなる危機です。

解決策は地方移住にあり？

こうした都市圏の問題を乗り越える鍵として、『東京消滅』は地方への人口移動を提案します。地方への移住が促進されることで、高齢化のバランスが取れ、新しいコミュニティづくりや地域活性化が見込まれるのです。ただし移住には働く場所や生活環境の課題も伴い、政策的支援が不可欠であることも語られています。

日本の未来を考える示唆に富んだ一冊

全186ページにわたり、中公新書ならではの分かりやすい解説で現状と未来像を描く本書は、地方創生や高齢社会問題に関心があるすべての読者におすすめです。変わりゆく日本社会の中で、何ができるのか、どう動くべきかを考えるヒントがここに詰まっています。

書籍情報

書名：東京消滅介護破綻と地方移住本
編著者：増田寛也
出版社：中央公論新社
発行年月：2015年12月
サイズ：186ページ
シリーズ：中公新書2355

東京消滅の未来図——介護崩壊と地方再生への挑戦