辺境から見つめ直す東京と東北の社会構造―『「辺境」からはじまる 東京/東北論本』が描く新たな地域論の地平
『「辺境」からはじまる 東京/東北論本』が切り拓く地域論の新展開
はじめに
2012年5月に明石書店から刊行された『「辺境」からはじまる 東京/東北論本』(編著:赤坂憲雄・小熊英二、執筆:山下祐介ほか)は、東京と東北という二つの地域を「辺境」という独自の視点から社会学的に分析した注目の一冊です。辺境とは単に物理的な意味での「周辺」ではなく、文化的、歴史的な「境界領域」として捉えられ、都市と地方、中心と周縁の関係性に新たな光を当てています。
「辺境」という視点の意義
本書は、従来の地域論が抱えがちだった中心と周辺の固定的な二項対立を乗り越え、辺境がもつ独自の価値や可能性を再評価します。特に、東北地方の文化や歴史的背景を深く掘り下げることで、東京をはじめとした中央都市との相互作用を見つめ直し、新しい「地域」の意味づけを提示しています。
主な内容と特徴
- 多彩な執筆陣の視点:赤坂憲雄・小熊英二をはじめとする多様な研究者が、歴史学、社会学、人類学など複数の分野から辺境の問題を探求。
- 東京と東北の比較分析:経済・文化の中心である東京と、伝統や自然が色濃く残る東北の対比から見える社会構造の変容。
- 辺境の再評価:辺境が単なる中心の「劣位」ではなく、自立した文化的・社会的な主体であることを強調。
なぜ今読むべきか
都市化とグローバル化が進む現代社会において、地方や辺境のあり方を考えることはますます重要になっています。本書はその視野を広げ、地域の未来を思考するための必読書です。日本社会の多様性理解や地域間格差の議論に新たな切り口を提供するでしょう。
書籍情報
- タイトル: 『「辺境」からはじまる 東京/東北論本』
- 編著: 赤坂憲雄・小熊英二
- 出版社: 明石書店
- 出版年: 2012年5月
- ページ数: 356ページ
- ジャンル: 社会学(地域社会論)
地域の多様な側面と可能性をリアルに描き出す本書で、「辺境」から日本の未来を再発見してみませんか?
辺境からはじまる東京/東北是一体か
本情報 書籍名: 著者: 赤坂憲雄/小熊英二/山下祐介 et al. 出版社: 明石書店 出版年: 2012 年 5 月 ページ数: 356 P サイズ: 19 cm カテゴリ: 社会学/地域社会